小さなルールで大きなゆとり

先月、久々の息抜きということで、北海道旅行へと出かけてきた。

その途中に泊まったのが、トマムリゾート(星野リゾートトマム)である。教え子がそこで働いているということもあるのだが、北海道へ行ってぼーっとするのにちょうどいい場所である、というのも大きな理由ではある。

さて、そこを離れる日の朝。朝食をとるためにレストランへと降りていく。席に案内されて、スタッフの方から渡されたのが、小さな紙の札である。みると表に「食事中」と書いてある。
このレストランはバイキングなのだが、席を立ってしまうと、食べ終わって席が開いているのか、単に食べ物をとりに行っているだけなのか区別がつかない。下げるのもできないし、かといってお客さんに聞くというのもなかなか難しい。そこで、この紙の登場である。

食べ物をとりに行っているときは、この「食事中」の札を表にしておく。終わって席を立つときには裏返しにする。裏には、「ごちそうさまでした」と書いてある。ちなみにこの札、日英中韓の4ヶ国語である。
ものすごくシンプルなルールだが、朝の混みあうレストランで、非常に有効に機能しているように見えた。それほど広いお店ではないのだが、お客さんを効果的に誘導しているようである。

確かに、店員さんが客の様子をしっかり見抜いて、食べ終わったのか食事をとりに行っているだけなのかを把握できるのが理想的ではある。しかし、店員さんが全てのお客の所作を見抜けるわけでもないし、朝の混みあうレストランでは効率が最重要課題である。そういうときに、誰もが守れるような小さなルールを設定して、お客さんと店員さんとが協力して、お店という限られたリソースを最大限に利用することができる、というのはいいアイディア、いい発想ではないかと、私は感じた。

みるに、その札は店員さんの手作りのようで、決してお金がかかっているものではない。おそらく現場の発想なのだと思うが、大体において朝というのは(たとえ時間をゆっくり過ごしたい人ばかりが集まっているリゾートホテルというところであっても)忙しいものである。実際そのお店もお客さんを順番に席に誘導するくらいである。
であれば、小さなルールを設けることで、ある程度のところでお客さんと店員さんの協力関係を築いて、互いが気持ちよく過ごせる・仕事できる環境を作った方が良さそうである。

ちょっといい気持ちで、トマムを後にすることができた。

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当たり前のことを

先日、私が朝必ず見ているBS1の海外ニュース報道番組で、尖閣諸島の問題を取り上げる機会があって、そこで専門家の方が、今後日本が取り組んでいくべき課題について解説していた。
尖閣の問題自体は私には範囲外でとてもそれには触れらないが、その「すべきこと」について取り上げられていた中に、「対外広報の強化」という側面があった。
その専門家の方によれば、「日本人は当たり前、当然だと思っていることは言わなくてもわかるという気持ちを持ちがちだが、それは国際社会では通用しない。どのような小さなことであってもしっかりと主張すると共に、それを対外的に発信していくことが必要だ。」とのことであった。
このこと、宇宙開発広報でも非常に重要だと思うので、私としてもこの件について少し書いておきたい。

当たり前のこと、というのは非常に難しい。日本人的な性格としては、わかっていることは改めて言わなくても、「あうんの呼吸」で通じる、あるいは「根回し」しておけばいいという風潮はあるかも知れない。
また、最近では、「そんなことは勉強して当たり前」というふうにいう人も多くなっている。私自身が属するIT分野などはその傾向が強いように見えるが、そうでなかったとしても、「ググレカス」のような言葉が出てくること自体、まずは調べろということが暗黙の了解(この時点で暗黙だ、というところもポイントだが)になっているようである。

しかし、わからない人というのは、そもそもどこから調べていいのかわからないのである。
ネットで検索して答えを見つけるというのは、簡単そうにみえて意外に難しい。
試しに、まったく何もわからない人に、この前のイプシロン打ち上げになぞらえて「固体ロケットと液体ロケットの差を調べろ!」と言ったとしよう。学校の授業だったら子供たちは必死になって調べて答えを見つけるかも知れないが、ふと思った疑問に大人が労力をつぎ込んで答えを出すだろうか?
いや、もちろんする人はするだろうが、私自身の感覚から言って多いとはいえない。

試しに、Googleで「固体ロケット 液体ロケット 違い」というキーワードで検索してみると、最初に出てくるのはJAXAの宇宙情報センターのページである。このページ自体非常によくできていて、私もよく活用するのだが、果たして一般の人に、推進剤とか、酸化剤といった言葉がすんなりと頭の中に入ってくるだろうか?
私たちは宇宙開発の業界にいるので、推進剤や酸化剤という言葉は当たり前に使うし、仲間同士でも別に疑問もなくそういう言葉をやり取りする。でも一般の人まではそうとはいえないだろう。

ここで思い出すのは、月探査情報ステーションのある出来事である。
それまで月探査情報ステーションでも、「一般の方になるべくわかりやすく」ということをモットーにしてページを作ってきたが、やはり、どうしても言葉、内容のギャップというものが存在した。私たちが当然と思っていることであっても、一般の人が知らないということが多かったのである。それを思い知らされたのは講演の席であった。
講演が終わったあと、ごく基本的な内容の質問…例えば、「月はなんで表をいつも向けているのですか?」とか…を受けたりする。これに対して、例えば「公転と自転の周期が一致しているからですよ」と答えたとして、果たしてその人は公転と自転という言葉がわかるだろうか?仮に知っていたとして、両方をイメージできるだろうか?

そういう疑問の中で作っていったページの中に、「今年の中秋の名月はいつですか?」というQ&Aコーナーがある。
私たちなら理科年表なり何なりをあたって調べるし、あるいはニュースでいうかも知れない。でも、理科年表の存在も知らず、ニュースもみていない人がいきなり「中秋の名月はいつ?」とネットで検索して、その答えを得ようとしたら…
私も当時、「そんな当たり前のことなんて検索して調べるんじゃないの?」と思っていたが、スタッフとも話したりしながら、ある意味「試しに」Q&Aにその項目を付け加えた。
今やこのQ&Aページ、中秋の名月に近い時期(ちょうど今頃)は日に3000ページビューを数えるほどの、サイト1の人気をかっさらうようになってしまっている。

自分にとっての当たり前は、人にとっての当たり前ではない。
であれば、どうすればいいのだろう?中秋の名月のQ&Aでもあったように、「そんなことみんな知ってるよ」という先入観を捨てて、まずはしっかりと記述していくことが必要なのだと思う。
それには、一般の(宇宙業界外からの)人からのインプットが重要である。メールを頂く、ツイッターでの反応を受け止めるというのもあるが、やはりいちばんいいのは、講演など、リアルな場所で会話することである。
そういう場所で受ける質問や反応は、本当に助かるし、私たちの目をはっと見開かせてくれるものが多い。「あ、こういうことがわからない元になっていたんだ」というようなことが必ずあるのである。
そういった点をていねいに解決していくことこそが、宇宙開発への障壁を下げていく広報、というより「対外活動」(アウトリーチ)の重要な側面になるのではないだろうか。

とはいえ、日々の更新に追われている現時点で、実は月探査情報ステーションにも自転や公転を解説した項目はない。
いつかこういうことをわかりやすく解説するページを、どこかに作らなければならないといけないな、と思っている。

当たり前のことを、しっかりと解説し、わかりやすく伝える。
実はいちばん難しいことでもあるのだが、だからこそ広報のプロとしてチャレンジしがいがあることでもあるだろう。まだまだ、挑戦は続く。

「3日」の問題

期待されていたロケット「イプシロン」、27日の打ち上げが発射前19秒で停止となって、ちょっと期待がしぼんでいる。私を含め多くの人がその瞬間を見守り、13時45分の「ゼロ」の声と共に何事も起こらなかったロケットに「?」と感じたことだろう。

おそらく機械的なトラブルが根本的な原因であり、近日中に問題が解決され打ち上げられることは間違いない。
ただ、私としては、打ち上げ後の広報対応に少し疑問があったので、書いておきたい。

それは、森田泰弘プロジェクトマネージャーの記者会見である。当日の記者会見では、まずJAXA理事長や宇宙開発担当大臣などの会見(15分くらいか)があり、その後森田プロマネが1人で記者会見に臨む「第2部」があった。
そのときの模様は、宇宙作家クラブの掲示板に記録されている。私が問題だと思ったのは、「3日」で打ち上げができるだろうという部分である。その記録から、問題の部分を引用してみよう。

日経新聞 スケジュール見通しについて。
森田 原因究明に半日、特定に半日、検証に1日。少なくとも二日間は時間をいただきたいと考える。現時点では最短3日後に打ち上げるということもありうる。

この言葉が元になって、各社の見出しに「イプシロン、3日後に打ち上げ」という言葉が出てくるようになった。例えば、

もちろん、3日後というのは最短であって、あくまでうまく行った場合だということはわかっている人は理解している。
しかし、メディアの記事はわかっている人ばかりが読むわけではない。見出しだけを読んでパッと知ろうという人も多い。特に数字はそうである。数字だけが独り歩きしていく怖さは、広報に携わった人なら誰もが経験しているだろう。

だからこそ、広報の現場では数字の扱いは慎重にしなければならない。私もそのように教わってきた。
森田プロマネの「最短で3日」というのは、実際のところまだ原因も何もわかっていない時点のことで、架空の数字でしかなかったはずである。そして実際、今日はJAXAも、打ち上げが9月まで延びることを発表している。

おそらくであるが、森田プロマネは、記者の質問に対し、ていねいに答えようとしたのだろう。また、誰もが新しい打ち上げ日を気にしている状況を知っていて、あえてサービスをしようとしたのかも知れない。

しかし、そのようなことは本来してはいけない。確実になっていないことを数字にしてしまうことは、あらぬ見通しを生む可能性を産んでしまう。例えば、3日後とあるから3日後にまた打ち上げをみにやってくる、という人だって出るかも知れない。時期は夏休みの終わり。最後の可能性と考えて宿や交通機関の予約を取ろうとする人もいるだろう。メディアだって3日という想定で準備をはじめるかも知れないし、実際そうしていたかも知れない。

メディアは数字を欲しがる。おそらくではあるが、その方がわかりやすいからだろう。わからないことというのは皆不安だから、数字になっていてしっかりと伝えられる方が安心するのかも知れない。
私も昨日、テレビ番組に出演してイプシロンの解説をしていたが、20秒前の搭載計算機の電源ONから19秒前の打ち上げ中止まで、わずか「1秒」という部分を強調するように指示が出ていた。実際には、電源ON→シーケンス停止は1秒以内であったと思われるし、おそらく打ち上げ前19.xxx秒というのが正確なところで、1秒という数字には意味はない。でも、メディアではその1秒というのを強調したがる。「すぐに」という言葉を「1秒で」といった方がわかりやすいということなのだろうか。

だから、数字を扱うときには気をつけなければならないし、裏付けのない数字は言ってはならないのである。でも、森田プロマネの記者会見の席には広報担当者はいなかった。森田プロマネが1人で担当していたのである。
広報担当者がいれば、その訂正・補足をすぐに行うこともできただろうし、あるいは事前ブリーフィングで数字の扱いに気をつけるように伝えることもできただろう。しかし結果的には「3日」が独り歩きしてしまった。

小さい問題かも知れない。わかっている人はわかっているから、問題はないだろうと思う人も多いだろう。でも、こういう小さいところに、いまのJAXAの広報体制、さらにいえばJAXAのゆるみ、みたいなものがないと断言できるだろうか。

さらにいえば、「はやぶさ」の成功以来、広報に甘えが生じていないだろうか。
かつて宇宙開発は、メディア報道としては逆風にさらされ続けてきた。成功しても取り上げられず、失敗すれば「税金の無駄遣い」「お粗末」「単純ミス」と見出しがつく。こちらがどのように細かい資料を配ってもほとんどみてもらえず、成功の何倍もの大きさの記事が失敗のときの紙面を飾ることになる。

確かに「はやぶさ」はそのムードを変えた。あれ以来、メディアは日本の宇宙開発を賞賛し、トップ技術を誇る日本の宝として大々的に宣伝し続けている。そして幸いにもこの3年間、ロケットや人工衛星の失敗は起きていない。
ただ、それはたまたま幸運だったからで、いつそのような事態が起きるかは予想できないのだ。私だって、2003年10月に、打ち上げたばかりの「みどりII」が突然通信を絶つなどということは想像もできなかった。困難は大体予想していないところで、突発的に、しかもいちばんひどい形で降ってくるのである。

失敗をすることもある。でもそれは次につなげていくためにどうしても必要なことであり、そのために国費をもって宇宙開発を続けている。このことを伝えていくために実に何年かかったことか。しかし、信頼というのは実際脆いものである。1回の失敗が世論のムードをガラリと変えるのである。
だからこそ、普段から広報も気を使い…緊張感をもって伝えていかなければならないのだ。それは細かい点にも及ぶし、細かい点だからこそ重要になるということもあるのだ。

いつまでもみんながJAXA、さらにいえば宇宙開発に味方してくれるわけではない。JAXAはそう思っておくべきである。広報担当者を誰もつけないままプロマネを記者会見の席上に座らせたのは、たまたまだったのかも知れないし、プロマネ1人で大丈夫という自信があったのかも知れない。しかし、「アリの一穴」から崩れていくのが信頼だとすれば、JAXAはもう一度、広報体制をしっかりと見直し、担当者全員の気持ちを引き締めていくことが必要だろう。それも、イプシロンの打ち上げまでに。

新型キャシュカイ(デュアリス)は今年末にもデビューか?

私が乗っている日産デュアリス、というか、日産キャシュカイですが、そろそろ新型の噂がいろいろ出てくるようになってきたみたいです。キャシュカイはヨーロッパ向けはイギリスで生産されていますが、そのお膝元であるイギリスの自動車雑誌、オートエクスプレスの記事で、新しいキャシュカイ(デュアリス)の発売時期などの情報が出ています。

この記事をみていきましょう。一応重要なポイントの翻訳を箇条書きで。

  • 9月に開催されるドイツ・フランクフルトのモーターショーで、新型エクストレイル(プラットホームを共有)が公開。キャシュカイはその後1ヶ月ほどで発表となり(おそらくは11月)、年末には販売開始される。なお、販売に関してはエクストレイルより先になり、こちらの方は来年早期ということになるだろう。
  • このフランクフルト・モーターショーではキャシュカイは公開されない。ただ、販売に先立ってティザーキャンペーンが展開される可能性はある。
  • 今回の新型キャシュカイには、ヨーロッパで販売されているキャシュカイ+2(3列シートを備えたキャシュカイ)はラインナップされない。
  • 新型キャシュカイのセールスポイントは、より上質感を高めたインテリア、足元スペースの拡大、燃費向上及びCO2排出量の削減となる。
  • 価格は現行キャシュカイよりはそれほど高くならない予定。
  • エンジンは、1.2Lガソリンエンジン(スーパーチャージャー付き)と、1.6Lディーゼルとなる予定。1.2Lタイプは113馬力。1.6Lディーゼルは現行と同様だが、CO2排出量などを見直したより「エコな」エンジンとなる予定。※ヨーロッパでのラインナップ
  • 車体サイズは若干現行より大きくなる。
  • スタイリングは、より大胆な形状のフロント、ダイナミックなサイド及び後部のデザインが特徴となる。
  • プラグインハイブリッド(PHV)タイプも用意される予定。こちらは約1年遅れ、2015年にヨーロッパ市場に投入される。
  • 生産は現在と同じ、イギリス・サンダーランド工場となる。

以上の情報は、これまでの情報とも非常に整合性があります。ただ、PHVを用意しているとはちょっとびっくりです。ただ、PHVについては、日産のアンディ・パーマー副社長も確認済みとのことで、確度の高い情報といえるでしょう。

現行キャシュカイの弱点が「内装」であることはかなり前からいわれていましたので、内装(インテリア)の向上がセールスポイントとなることは間違いなさそうです。デザインについては、すでにオートエクスプレスがスパイショットを激写しています。

まだカバーがかかっているのでわかりにくいのですが、現行キャシュカイの特徴を受け継ぎつつ、よりダイナミックなスタイリングになっているようにみえます。また、かなりはっきりとした「赤」の車体であることが、カバーの隙間から垣間見えます。

さて、問題は日本市場への導入がどうなるかです。
現行キャシュカイは、ヨーロッパの販売開始から2ヶ月遅れで日本市場に投入されました。これともし同じパターンを踏むとすれば、日本でも来年のかなり早い時期には販売開始になると考えられます。
問題はパワートレーンです。日本で現行と同じ2.0Lガソリンエンジン+CVT-M6を導入するのか、ヨーロッパと同じ「ダウンサイジングコンセプト」の車両を導入するのかは判然としません。私自身は、日本では現行と同様、2.0Lガソリンエンジンの車両を投入すると思います。なお、アイドリングストップなどの燃費向上策を入れてくる可能性は十分にあります。

さらに気になるのが、PHVの存在です。意外に日本ではまずPHVを先に(あるいは同時に)デビューさせ、ヨーロッパではむしろ遅らせるという可能性が考えられます。国内市場ではスバルのXVハイブリッドや三菱のアウトランダーPHVなど、同じセグメントでのハイブリッド化がかなり進んでいますので、市場訴求力という点でPHVを日本市場に先行投入することは考えられます。
ただ、日産のハイブリッドトレーンについてはあまり情報がないため、このあたりはよくわかりません。日産はハイブリッドモデルとしてFR用とFF用を持っているようですが、FF用については現在投入がアナウンスされているハイブリッドモデルはアメリカ市場用のアルティマです(2014年モデル)。FF用はCVTと一体化されていて、2.0Lから3.5Lまで適合可能とされていますが、アルティマに搭載されるものは2.5L(スーパーチャージャー過給)のようです。
より小さいエンジンのものを開発しているかどうかは、現時点でも情報がありません。

今回の情報を補強する材料として、日産自動車がプレスリリースで発表した、モジュール生産のニュースがあります。

このCMFというのは、エンジン部分やシート、電装系といった車両の構成部分をモジュール化し、日産およびルノーの複数車種で共用しようという考え方です。プラットホームや部品の共有からさらに一歩進めて、ある程度のまとまった単位で共有を進めることで、開発の効率化、価格の削減などを狙うというものです。

ここで出てくる言葉として、このCMFが適用される最初の日産車として、「2013年後半に発売されるローグ、キャシュカイ、エクストレイルの後継車」という言葉が出てきます。プレスリリースですからこの点は間違いないといえるでしょう。つまり、2013年後半にはこれらの後継車が出ることを日産としても認めていることになります。

この先いろいろ情報が出てくるとは思いますが、何となくかなり情報管理を徹底しているような感じを受けますので、出てくるまでは全くわからないという可能性もあります。いずれにしても現行を超えるモデルが出てくることを期待したいところです。

ThinkPad HDDのSSDへの交換 (X220編)

続いて、メインマシンであるX220のSSDへの交換へと移りました。

今回の場合やっかいなのは、ファイルシステムが2種類(正確には3種類)あることです。このマシンは半分をWindows,半分をLinux (Ubuntu)のデュアルブートとして構成しているので、Windows用のNTFS、Linux用のext4という2つのファイルシステム(さらに、Linuxのスワップ領域)が混在しているのです。このため、通常のNTFSしか想定していないディスククローニングツールではコピーができません。実際、X61で使用したNTI Echoを使っても、ext4領域は認識すらしてくれません。

また、当初320GBだと思って買ってきたIntel SSD 320が、実際の容量としては300GBであったことが判明。このため、X220の換装もパーティションを縮小してコピーする必要が出てきてしまいました。
そこで、すべきこととして、

  • まず、ファイルシステム全体を縮小し、300GBに収まるように調整する。
  • 次に、ディスク全体をコピーする。不可能であればパーティションごとにコピーをする。
  • ブート領域(MBR)をコピー

という3段階のステップを踏むことにしました。

まずはファイルシステムの縮小です。NTFSの縮小は、Acronis Disk Directorを使用しました。Parted Magicはこの時点ではまだ不安があったので使用しませんでした。
一方、ext4の領域変更はParted Magicを使用。私のコンピュータでは、/パーティションと/homeパーティションの2つの領域を作っているのですが、/領域にかなり空きがある一方で、/home領域が若干ディスクを圧迫しているので、領域の再デザインも一緒に実行しました。

続いて、ディスク全体のコピー。Parted Magicでもやはり縮小コピーができなかったので、Parted Magicを使って、NTFSとext4についてパーティションごとにコピーを行っていきました。NTFSもext4も、コピーは問題なく終了です。

最後はMBR領域のコピー。これについては、原始的な(苦笑)ddコマンドを使用します。
dd if=/dev/sda of=./sda.mbr count=446 bs=1
dd if=./sda.mbr of=/dev/sdb
ここで、count=446としてあるのは、MBRのうちブート部分だけをコピーしたためです。512としますとパーティションテーブルもコピーすることになりますが、当然2台のディスクのパーティションテーブルは異なっているので、もし512でやってしまうと大変なことになります(実際一度やって、コピー先のディスクのパーティションを消してしまいました)。

さて、これで起動…
…してみると、うまく起動しません。
どうやら、起動用のgrubは隠し領域を持っているようで、これがうまくコピーできなかったためのようです。

そこで今度は、Parted Magicについてきた、grub doctorを使用します。その名の通り、grubに問題が発生した際に診断をしてくれるという便利なツールであります。grub doctorを起動すると、いくつか対話的な質問が出てきます(例えば、どの領域にgrub.confがあるか、など).それに間違いなく答えれば、再度grub領域を作成してくれるというわけです。2〜3の簡単な質問に答えて、無事インストールされたことを確認、再度起動すると…
うまくいきました! grub画面が出てきて、Linux (Ubuntu)もWindowsもちゃんと起動してくれます。

今回いちばんの問題だったのは、ディスクそのものの挿入でした。
Intel 320 SSDシリーズは、SSD本体の上に、黒い枠のようなものがついてきます。どうもこのSSDはデスクトップマシンにインストールされることを考えているようなのですが、この黒い枠があるおかげで、X220のハードディスクスロットの入口につかえてしまって入らないのです。試しに黒い枠を外そうとしましたが、この枠を止めているネジはSSD全体を固定する機能も兼ねているためにそうもいかず。
そこで、またもやX220の分解です。
X220の裏側のネジを外し、本体全体をゆるめます。さらにキーボード固定部分も外してキーボードを取り外します。こうすると、HDD/SSDを入れるスロットの上のカバーがみえるようになります。このカバーを少し浮かせながら、まず入口から斜めにSSDを差し込み、十分入ったら水平にスライドさせて、コネクタとつなげます
…というもののこれがまた非常に難しい。1時間近く格闘した挙句、何とかつなぐことに成功しました。また、X220にもともとついてきたゴムの制振部材やケージについては、取り外さざるを得ませんでした。もっとも、黒い枠がついたままのSSDは容積ぴったりに収まっているので、十分固定されて振動に耐えるようになっています。おまけにSSDは振動に強いですし。

こうして、SSDの換装が成功しました。
今のところ、X61ほどの加速感はあまり感じませんが、特にWindows側では全体的な速度の向上を感じます。LInux側はあまりスピーディになったという印象を受けませんが、今のところ問題は発生していません。
また、X61で発生した、Windows Updateなどができなくなってしまう問題は、X220では発生していません。
電池の持ち時間についても、X220ではあまり変わらないようにみえます。ただ、私の使い方が、電池でほぼフル活用するというやり方なので、節電にあまり寄与していないかも知れません(液晶バックライトがかなり電力を消費している可能性が高いです)。

いずれにしても、X61に続き、X220でも快適なSSDライフを送ることができるようになりました。

Microsoft Office for Ubuntuの衝撃

先日、こんなニュースが流れていました。

これらの記事に書かれているのは、Microsoftが2014年頃をめどに、Linuxの1ディストリビューションであるUbuntuに対して、Microsoft Office(のネイティブ版)を提供する可能性がある、というものです。

数年前であれば、LinuxをベースとしたOSに対してMicrosoftがソフトウェア、それも自社のソフトウェアの中核であるMS Officeを提供するなどということは全く考えられませんでした。私がもしそんなことを言ったとしたら、「熱でもあるんじゃないか?」と軽くあしらわれたことでしょう。

しかし、この数年で、OSを取り巻く状況は随分変わってきています。
まず、Microsoftは、Linux、あるいはオープンソースに関して、かつてのような敵対的姿勢を転換させています。オープンソースに対して最近ではMicrosoftが有力なコントリビュータであることは、オープンソースに携わっている方ならよくご存知の事実です。
基本的に、オープン標準、オープンシステム上で自社ビジネスを展開していくことがMicroosoftの方針となっているようで、現に、ウェブでは業界標準のHTML5を基盤としていくことを標榜しています。
オフィスソフトの分野でも、OOXMLという文書規格(これ自体はいろいろと問題はありますが)をオープン規格にして、従来の囲い込みの姿勢を脱出しようとしてきているようにみえます。

次に、記事でも指摘されていますが、デスクトップLinuxのシェアが次第に伸びているということが挙げられます。もちろん、Windowsのシェアの90%以上、などというのには遠く及びませんが、現時点では各種調査により、大体1%強のシェアはあるみたいです(まぁ、ディストリビューションごとでいうとまたいろいろあると思いますが)。
さらに、このデスクトップLinuxを採用しているところが、公共団体や自治体など、オフィス分野に特化しているという点も注目です。オフィスソフトを買うかどうかわからない個人客ではなく、確実な購入がみこめる(かも知れない)業務分野でLinuxデスクトップが浸透しつつあるということは、ここに確実な収入源があるとMicrosoftが考えたとしてもおかしくないでしょう。

さらに、ターゲットがUbuntuというところもポイントです。
Ubuntuはスケジュールがしっかりしたリリース方針や、自前のUbuntuソフトウェアセンターなどで、ユーザを確実につかむ(というか、囲い込む)作戦をとっています。また、バックにはCanonicalという会社もあってサポート体制も万全。
つまり、サポートできるOS(というかディストリビューション)を絞り込め、サポートをCanonicalと共同、あるいは委託して行うことができ、さらにはソフトウェア購入をUbuntuソフトウェアセンターから行えるようにできるという意味で、ソフト販売プラットホームとして他のLinuxディストリビューションから一歩抜きん出ているといえるでしょう。ちなみに来年(2014年)は長期サポート版のリリース年でもあり、この14.04 LTSがターゲットとなる可能性があります。

今回のMS Office for Ubuntuだけをみるとちょっと突飛なように感じるかも知れませんが、先ごろリリースされたLibreOffice 4.0でも、ユーザインタフェースではUnity(Ubuntuが採用しているデスクトップユーザインタフェース)との統合が図られています。
つまり、ソフトウェア流通、さらにはオフィスワークなどの分野で、Ubuntuが十分注目され始めているといえるのです。

私としてはこの傾向は大歓迎です。もちろん、私自身がUbuntuユーザだということもあるのですが、現在のWindowsの90%シェアというのは、実際のところセキュリティなどの面であまりにも危険ですし、MacOSなども含めて、より多様なOSの世界があってもよいと思います。
PCがいくらジリ貧とはいっても、タブレットやスマートフォンにすべてが置き換わるわけでは決してありません。むしろ、PC自体のプラットホームが活性化することで、新たな可能性が開けていくかも知れないのです。

また、ウェブサービスが普及すれば、プラットホームがどのようなOSであっても同じような形で仕事ができる(要はブラウザ1つで何でもできる)ということがある半面、依然として企業などではデスクトップアプリケーションへの要望が強いことは確かです。
そういった企業に対しても、MS Officeを装備したUbuntuというのは魅力的な選択肢として響くでしょう。

まだまだ噂という段階ではありますが、このニュース、注目する価値があるでしょう。

ThinkPad HDDのSSDへの交換 (X61編)

職場で利用しているThinkPadを、SSDに交換する作業に挑むことになりました。
今回は、2台のThinkPadのSSD交換を行うことになりました。1台は5年もののX61、もう1台はちょうど1年経過するX220です。

まずは、X61から。
もともとこのマシンはハードディスクが非常に遅いせいか起動時間が長く、フルに使えるようになるために5分くらいかかるという点がネックでした。
そのため、SSDを利用して高速化を図ろうということを考えたわけです。

X61にもともと入っていたHDDは160GB。
SSDは、今回は、PlextorのM5 Proを選択。価格と速度のバランスがとれているということが購入の決め手となりました。ただ、価格の問題もあり、選択したのは128GBタイプ。つまり、ディスクを縮小して入れ替えることとなります。この点は、容量に関してはHDDの半分くらいしか使っていなかったので問題はなかったのですが、後々ディスククローニングで苦労することになります。

Plextor M5Pro

クローニングのため外付されたM5 Proさて、そのディスクのクローニング(複製)。
よくあるように、2.5インチのディスクを外付けできるツールを使い、まずはSSDをUSB外付けディスクとして接続。CD-ROMからクローニングツールを起動して、HDDデータをコピーすることにしました。
今回選択したクローニングツールは、Parted Magic。Partition Magicではありません(笑)。オープンソースのクローニングツールです。
例えば、

  • ディスクパーティション操作を行うGParted
  • ディスクやパーティションのクローニングを行えるClonezilla
  • Grubの修復を行うことができるgrub doctor

など、さまざまなツールが利用できます。

Parted Magic起動画面で、コピーを始めたのですが、ここで予想外の事態が発生。
まずはClonezillaを利用してディスク全体のコピーを実施しようとしたのですが、Clonezillaは今回のようなより小さい容量へのディスクコピーには対応していませんでした。
そのため、今度はパーティションごとのコピーに変更。X61にはNTFSのパーティションが2つあったのですが、順々にコピーしていきました。コピー自体は特に問題はなく、無事終了。

Clonezillaの画面Clonezillaでディスクをコピーしているところコピー作業進行中コピー作業順調に進行中で、ディスクを入れ替えて起動することに。
SSDの挿入には若干苦労しました。M5 ProはThinkPadのロールケージと穴の位置が微妙に異なっていて、ねじで留めようとするとなかなか止まりません。結局ロールケージを最初HDDをつけていたときとは逆さまにつけることで何とか解決。ただ、こうするとディスクをスロットに入れるのにはかなり大変です。結局、裏ぶたを若干ずらして入れることができました。

さぁ、緊張の起動の瞬間…
「Disk error occured」…
ディスクは認識しているが、エラーのようです。

いろいろ手を尽くして調べてみましたが原因は不明。おそらくは起動部分(MBR)のコピーがうまくできていなかったためではないかと思われます。今となっては確認できませんが…。

そこで、M5 Proについてくるクローニングツールの使用に切り替えました。このツールはNTI Echoというもの。正確にいえば、SSDのパッケージにダウンロード用のURLとプロダクトIDが記されていて、ダウンロードしてインストール時にプロダクトIDを記入すれば利用できるようになっています。

NTI Echoの画面このツールは、意外だったのですが、HDDにインストールして使用します。インストールが終わり、プログラムを起動すると、クローン元とクローン先のディスクが表示されます。問題がなければ、両者を選んで再起動。

再起動すると、Linuxらしい画面が立ち上がり、クローニングが開始されます。この作業は淡々と進み、終了するとマシンをシャットダウンするよう促されます。
シャットダウンしてディスクを再度入れ替え、起動してみると…

無事起動しました!
それも猛烈な速度で…。
いままでログイン画面が出てくるまでに1~2分かかっていたものが、感覚的には瞬時といってもよいくらいのスピードです。

ログイン等も問題なく成功。とにかく何もかも早く動きます…
もう何ともいえずすばらしいですね。

…と、感動に浸っていると、問題を発見。
Microsoft Updateができないのです。Updateを行おうとすると、

現在サービスが実行されていないため、Windows Updateで更新プログラムを確認できません。このコンピューターの再起動が必要な可能性があります。

というエラーメッセージが。さらに同様の理由からか、Microsoft Security Essentialsのアップデートもできなくなってしまいました。

最初はこの症状から、まさかのウィルス・マルウェア混入を疑ったのですが、その兆候はなし。
Windows Updateのサービスの再起動なども試してみましたが、症状は変わりありません。

一部システムファイルの破損や、ディスクエラーも疑い、chkdskやsfc /scannnowも実施したのですが、その後も問題は解消せず(というか、sfcはシステムファイルに問題があるという表示はするのですが、ユーザ権限でその置き換えができないという状態…)。

そこで、Windows Updateのログを調べてみることにしました。このログを見てみますと、エラーコード0xc8000247というエラーであることが判明。
このコードを手がかりにググってみますと、例えばこんなページがひっかかりました。

http://kerberos104.blog58.fc2.com/blog-entry-63.html

どうやら、Intel Rapid Storage Technologyというものをインストールすることで解決するようです。
(一部のブログでは、これをアンインストールすることで解決した、というものもありましたが、正確には、古いバージョンをちゃんとアップデートする必要があるということのようです。)

そこで、Intelサイトでインストールを実施しようとしたのですが、なんと、「お使いのマシンはインストール要件を満たしていません」ということではねられてしまいます。

困り果てた後に先のブログをよくみてみると、このIntel Rapid Storage TechnologyはThinkPadの専用版が存在するみたいです。
というわけで、「Intel Rapid Storage Technology Lenovo」で調べると…ありました!

http://support.lenovo.com/ja_JP/detail.page?DocID=DS013896

ダウンロードしインストール、再起動を行うと、うそのようにエラーが解消するじゃありませんか!
これで、SSD交換がすべてうまくいき、これまでスピード不足により一線を退いていたX61が現役復帰を果たすことができました。

(追記)写真を追加しました(2/28)

フラッグスタッフへ (その2)

というわけで、長いフライトのあとの長い(?)ドライブでフラッグスタッフにたどり着いたわけですが、多くの人はなぜ「フラッグスタッフなの?」と思うことでしょう。

フラッグスタッフには、アメリカ地質調査所(USGS)の宇宙地質学(Astrogeology)セクションがあります。アリゾナ隕石孔からもすぐ近くにあり、まさに天体のフィールドワークを実地で行える場所に、こういうセクションが設けられたのは自然なことといえましょう。

現在では、この部門は、月・惑星探査のデータ処理やそのためのソフトウェア開発などを幅広く行なっています。今回、USGS Astrogeology Sectionのメンバーが主催して、ツール開発者や利用者など、いろいろな立場の人が一同に会してのワークショップ開催となったものです。

 

さて、会場は北アリゾナ大学(NAU: Northern Arizona University).街中にある大学です。最初は「どうせ単科大学くらいだろう」と思っていたのですが差にあらず。でかいキャンパスには25000人の学生が学んでいます(ただ、実際にはサテライトキャンパスがあるので、学生数はもう少し少ないみたいですが)。
実際、街中を歩いていると、どうみても学生さんという人たちを多く見かけました。歴史ある街ではあるが、若い人達で活気もあるというのは、本当に私の住んでいる街、会津若松とそっくりです。いつか姉妹都市になったらいいのになぁ。

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会議会場は、大学の南側にあるデュボイスセンターというところです。北側の入り口から入ると、大学の中を10分ドライブしてようやく着く、というところです。もう夏休みなのか、大学はあちこちで工事中で、片側通行や回り道があったりします。

今回のワークショップ参加者は約150人というところ。前半はユーザ主体のセッション、後半は開発者主体のセッションで、両方の日程が重なる水曜日に両者の立場からの議論、というスタイルになっています。私は両方の立場からの出席としました(結果的にはそれが正解でした)。

議論は初日から非常に濃密で、メモをとっているノートのページがあっという間にふくれあがっていきます。あまりに多くの情報でこちらがお腹いっぱいになってしまうくらい、役立つ情報、素晴らしい成果、そして同じことをやっている仲間との出会いがありました。
月・惑星探査のデータ管理や公開・解析などのシステムを作る人というのはなかなか少ないかと思っていたのですが、世界的にも結構たくさんいる、というのは嬉しい誤算でした。ただ、多くがUSGSやNASA(とりわけJPL)というところは指摘しておいた方がよいでしょう。

時差ボケは大変ではありますが、それをおしてでも満足する、そしてワクワク、興奮するような内容で、つくづく「来てよかった」という思いを新たにしました。

フラッグスタッフへ (その1)

出張で、アメリカ・アリゾナ州フラッグスタッフに来ています。

 

今回の出張は、「惑星データワークショップ」(Planetary Data Workshop)というもので、月・惑星探査のデータの解析、保存、及びそのためのシステム開発などについて、これらに携わっている研究者が一同に会して議論する、というものです。

フラッグスタッフはアリゾナ州の北部にあります。グランドキャニオンやアリゾナ隕石孔(クレーター)観光の拠点としても有名ですし、古き良きアメリカの面影を残す街としても親しまれています。

 

さて、今回はロサンゼルス経由で、アリゾナ州州都のフェニックスまで飛行機で往復し、そこからレンタカーで動くという手を取りました。フラッグスタッフにも空港はあるのですが、飛行機便が少ない上に乗り継ぎが悪かったり、航空運賃が高くなる、ということを避けたかったのです。

いちばん時間も良く、値段も安かったので、今回はデルタ航空の便をチョイス。前回3月の出張では、デトロイト行きの便でトイレが壊れているわいすは勝手にリクライニングするわで「もう乗らない」と思っていたのですが、わずか3ヶ月で方針転換です(笑)。

今回は特に航空機にもフライトにも問題なく、無事フェニックスに到着…したのですが、なんと今アメリカを覆っている熱波で、フェニックスはとんでもない高温になっていました。到着した時も気温はなんと40度。華氏で110度とか書かれるとさらに高温感が増しますね。沸騰しそうな暑さ、というか…

 

さて、ここからフラッグスタッフまではレンタカーでドライブです。距離にして約250キロ。一直線にインターステート17号線を走れば、約3時間で着きます。

今回は、ナビ無しのレンタカーを選びました。前回某Hertzレンタカーで、ナビゲーション(NeverLost(TM))付きのレンタカーを借りたのですが、これに頼ってホテル(20キロほど先)まで行こうとしたところ、とんでもない目的地を指定してくれて、夜のヒューストンで道に迷うという目に会いました。今回はLostするナビ(笑)は忘れ、自前のタブレットのマップ機能+ナビ機能で進むことにしました。といっても道は事実上ほとんど一本道なので、インターステートに入るところと出てからホテルまでさえ間違えなければまず問題ありません(といっても、たいていそこを間違えるわけですが)。

インターステートは、フェニックス市内は制限速度55マイル、郊外に出ると65マイル、さらに街から遠ざかると75マイルとなります。時速120キロ。実際に走ると結構なスピード感です。しかし、ほとんどの車は私の車を追い抜いて走っていきますので、多分80マイルくらいは出しているのでしょう。

ただ、道のそこここにはパトカーが待機していましたし、私も一度追尾されました(瞬時にスピードダウンしたのでそのまま離れてくれましたが)。さらにとっつかまっている車も見かけました。皆さんスピード違反には十分ご注意を。

こういうときにはオートクルーズ機能が役立ちます。この車にもついていましたので試してみました。一度使い慣れると楽ですね。ずっとアクセルに足を置かなくても、車が勝手に走って行ってくれます。ただ、前に遅い車がいると減速をしなければいけません。ついついラクチンさに慣れて注意散漫になると、異常接近してしまいますので、オートクルーズでも運転は慎重に。

 

フラッグスタッフは標高約2100メートルという高原都市。一方のフェニックスは300メートル。250キロかけて、この1800メートルの標高差を登っていきます。途中にはかなりの上り坂もあり、日本でいえば中央道や長野道などを思い出させるような山岳ルートもありました。こういうところは制限速度65マイルになります。えらくのろのろのトラック(なんで登坂車線というものが存在しないんだ)と、制限速度超でかっ飛ばす地元車にはさまれて、結構大変なドライブでした。

ですが、景色は美しいですね。フェニックスを出てしばらくは砂漠の光景がずっと続き、遠くに、山頂が平らなテーブルマウンテンが見えます。そこから一気に山を登って行くと、周りは次第に緑が増えてきます。やがて、国立公園の中を走っていくルートとなり、空の青さがより目にしみるようになると、フラッグスタッフはもうすぐです。

 

結局休憩+事故渋滞のため、3時間でフラッグスタッフに無事到着。いよいよ、ワークショップというところです。

ブログはじめてみました

こんにちは、皆さん。

「いつかブログはやらねば」と思いつつ、先延ばしにばかりしていたのですが、最近、Twitter上でツイートを連発するようなことがしばしば起きていて、もう少しじっくりと話せるような場所を作らなければ、と思いました。

ブログというメディア自体はもう少し古いものになりつつあるかも知れませんが、TwitterやFacebookとも連携させれば、まだいろいろいけるものはあるかも知れません。

また、私自身、「月探査情報ステーションブログ」を運営していますが、こちらはあくまで月・惑星探査の最新情報ということを主眼としています。こちらのブログでは、コンピューターからラーメン、はたまた宇宙開発からその他いろいろ…私自身に関することを扱っていきたいと思っています。

一応私もコンピューター屋ですから(笑)、ブログはどこかのサービスを使うのではなく、自分で立ててみました。今回は、世界的にシェアが高いWordPressを選択。語感からはワープロのような印象を受けるのですが(爆笑)、普通にブログシステムですね。

www.terakin.comのメインページと同様、こちらのブログもどうぞお見知りおきくださいませ。