ISISとは?
ISIS(アイシス、またはイシスと読みます)は、アメリカ地質調査所(USGS)によって開発された、惑星分光画像を解析するためのソフトウェアです(ISISは、Integrated Software for Imagers and Spectrometersの略です)。
ソフトウェアといっても、その実態はいろいろな画像解析のためのプログラムの集合体であり、一種のツールボックスといっても構わないと思います。また、それらをコマンドベースで実行させるための、TAE (Transportable Application Environment) という環境も用意されています。
ISISの特徴
ISISの特徴は、おおむね次のようにまとめられると思います。
- 解析に必要となる(と思われる)アルゴリズムの多くが予め用意されているため、必要なコマンドを組み合わせて実行するだけで、画像解析を簡単に行うことができます。
- Tutorialモードが用意されているため、はじめての人でも比較的簡単にはじめることができます(もちろん、tutorialは英語で書かれていますから、日本人にとって簡単とはいえないかも知れませんが…)。
- ミッション毎に解析パッケージが予め用意されています。例えば、クレメンタイン画像の解析用、ガリレオ画像の解析用パッケージなどがあり、これらのパッケージを導入することにより、複雑な処理(例えば、画像のキャリブレーション処理など)を1つのコマンドだけで実行できます。
- ISISはUSGSから無料で入手することができます。また、登録ユーザであれば、アップグレードやバグなどについての情報を(電子メール経由で)得ることができます。
このようにISISは便利なツールではありますが、問題点もないわけではありません。
- 対応するプラットフォームが限られている。現在のところ対応しているプラットフォームはSolaris 2.4以上など幾つかだけ(注)です。もちろん、Windows95やMacintoshなどでは利用することはできません。
- ISISは大変容量の大きなパッケージです。インストールするためには最低でも500MB、全てをインストールすると800MB以上ものディスク領域を必要とします。また、インストールするためのパッケージはUSGSから取得する必要がありますが、これはネットワーク経由で入手しなければなりません。
- ソースコードが公開されていないため(これは仕方のないことだと思いますが)、普通のUNIX系のツールとは異なり、バグがあったときにこちらでソースコードを書き換えるなどして対処することができません。
従って、個人ベースでの利用には適しませんが、研究室などで画像解析を進めるときには、非常に強力なツールとなることと思います。
(注)現在、ISISが対応しているプラットフォームは次の通りです。(ISIS添付のREADME000.TXTより)
- Sun Solaris 2.5
※おそらく、Solaris系であればSolaris 2.4でも走ると思われます。
※SPARC版のみです。Solaris 2.x for Intel X86では動作しません。
- SunOS 4.1.3 (Solaris 1.1.3)以降
※JLE版でもおそらく大丈夫だと思います。
- DEC Digital UNIX 4.0 (Alphaプロセッサ版)
- Silicon Graphics IRIX 6.2
※MIPS IIコードセットを使用し、ハードウェアとしてR4000以上のプロセッサを採用したマシン。
また、まだβ版ではありますが、Linux用のISISも作成されています。このISISの使用要件は次の通りです。
- カーネルのバージョンは2.0.30以上であること。
- 共有ライブラリのバージョンはlibc.so.5.4.13以上であること。
- ELFバイナリが実行可能であること(これは、カーネルが2.0.30であれば問題ないと思いますが)。