デジタル惑星科学データの整理と評価
−画像と地震波データの例−
寺薗淳也((財)日本宇宙フォーラム)、齋藤潤(西松建設技術研究所)
近年のデジタル惑星科学データの普及により、研究者がパソコン等を用いて容易に惑星科学的研究ができる環境が整いつつある。また、これらのデータはネットワークを利用すれば常に最新のものを入手できるようになっており、データだけでなく、解析手法やデータについての説明なども、ネットワーク上で全て得ることが可能になりつつある。
しかし、デジタル情報は大量であり、現状で必要な情報を迅速に得ることが困難になるケースが多い。今後、日本においてLUNAR-A、MUSES-C、SELENEといった月・惑星探査計画が始まり、大量の高精度データが得られた際に、それを整理し、研究者が迅速に情報に得られるようなシステムを開発しておくことは、研究の進捗の上でもきわめて重要であると考えられる。そのためには、研究者が利用しやすい、解析に耐え得る良質のデータを抽出・整理・評価する必要がある。
本講演では、月の画像及び地震波データ及びを題材に、抽出・整理・評価するためにどのような作業を行えばよいか検討した結果を報告し、併せて将来的な方向性についても議論を行う。
現在、そのための第1段階のアプローチとして、画像についてはクレメンタイン探査機のデータを題材に、画質を表現するパラメータを抽出し、それらを実際に評価する試みを進めている。
また、アポロ計画により得られた月の地震波データは、既に一部をデータベースしている。このデータベースは現在、実際の解析へ応用されているほか、今後はこのフォーマットを基礎として、多種類のデータを1つのファイルに納め、自由に取り出せるフォーマット(やそのためのアクセスライブラリ)の開発、様々なプラットフォームに適応できる環境の開発などを進めている。
こういった試みを組み合わせることにより、月・惑星研究のための「支援システム」を作成できるのではないかと考えられる。
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